肺炎球菌ワクチンについて

 肺炎球菌は、小児の中耳炎気管支炎肺炎敗血症および細菌性髄膜炎の主要な
起炎菌で、インフルエンザ菌と並び、小児の細菌性感染症の主な原因となります。その中でも、病原性が強く、侵襲性の強い肺炎球菌による全身感染症(敗血症、髄膜炎など)の
場合は、その進行が速く、死亡する可能性も高くなります。 日本では毎年約1,000人の
子どもが髄膜炎にかかるといわれ、そのうち約60%がインフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)、
約30%が肺炎球菌によって発症します。 肺炎球菌による髄膜炎は、Hibによる髄膜炎より
頻度は低いものの、死亡率、後遺症発生率は逆に約2倍程度高くなるとされています。 
また、敗血症に関しては、その16%がHib、72%が肺炎球菌によって発生します。 

 肺炎球菌ワクチン(商品名:プレベナー)は、約90種類ある肺炎球菌の中で、特に乳幼
児に重篤な感染症を引き起こす主な7種の肺炎球菌に対して、その感染を防ぐ目的で開発
され、海外では10年前から接種が始まっているワクチンです。 現在、世界97ヶ国で使用
され、そのうち41ヶ国では、公費による無料の定期接種プログラムに導入されています。 肺炎球菌ワクチンを接種することにより、侵襲性の強い肺炎球菌感染症のリスクを大幅に
減少させる効果が期待できます。 また、肺炎球菌ワクチンとHibワクチンの両方を接種して
おくことで、小児期の細菌性髄膜炎の多くを防ぐことができます。
 
 現在世界各国では、今回の肺炎球菌ワクチンの改良型で、13種類の肺炎球菌に対して
効果を持つ新型肺炎球菌ワクチン(プレベナー13)が承認され、使用され始めていますが、
残念ながら日本では承認申請中で、実際に使用できるようになるにはまだ数年かかります。
重症の肺炎球菌感染症は低年齢ほどリスクが高くなるので、プレベナー13の発売を待たず、
現在の肺炎球菌ワクチンで接種を開始されることをお勧めします。


接種対象は生後2ヶ月から10歳未満です。特に5歳未満のお子様にお勧めします。

   ー接種回数ー
      ・生後2ヶ月〜7ヶ月未満 → 計4回接種
      ・生後7ヶ月〜1歳未満  → 計3回接種
      ・1歳〜2歳未満     → 計2回接種
      ・2歳〜10歳未満    → 1回接種

2010年2月19日