すでに報道等でご存じと思われますが、3月5日より、小児肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン
の接種が一時的に見合わせとなっています。 これは、肺炎球菌ワクチンおよびヒブワクチン
を含むワクチン同時接種後の乳幼児死亡例が3月2日から4日の間に4例報告された事に対す
る厚生労働省の対応です。(詳しくは厚生労働省のホームページをご覧下さい) 

 まず、お亡くなりになった4人のお子様とそのご家族に対して心からの哀悼の意を表します。

 これら4例の死亡例と肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン接種との関連性は現在のところ不明
で、調査が行われているところです。 8日に専門家会議が開かれ、そこで今回の件に関して、何らかの結論、方向性が示されるのではないか
と思われます。 肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン
接種をご希望されている皆様には不自由をおかけしますが接種再開までもうしばらくお待ち下さい。

 ヒブワクチンは20年前から全世界で2億人以上、小児肺炎球菌ワクチンは10年前から全世界で
3億人以上の乳幼児に接種が行われ、安全性が認められているワクチンです。 この中でワクチン
接種との関連性が証明された死亡例の報告はありません。 今回の件は、大変不幸で悲しいことで
ありますが、ワクチンとの関連性よりも、他の原因(感染症、基礎疾患、乳幼児突然死など)が関係
している可能性が高いのではないかと思われます。

 これらのワクチンが導入される以前は日本で毎年約1000人の乳幼児に細菌性髄膜炎が発症し、
そのうち数10人〜100人が亡くなっています。 一方、以前よりこれらのワクチンを定期接種として
実施している国々では、細菌性髄膜炎による死亡はほとんどないとされています。 ワクチン
後進国と言われている我が国で、細菌性髄膜炎によって命を落としたり、後遺症を残す不幸な
子ども達がこれ以上でないように、ワクチン接種は継続していかなければなりません。 
 そのためにも、今回の件に関しては、ワクチンとの因果関係に対してきちんとした検討がされなけ
ればなりませんし、その情報はこれからも正確にお伝えしていきますので、皆様にも冷静な対応を
お願いしたいと思います。 

 肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの接種再開が決定されましたら、このホームページ上でお伝え
しますので、皆様にはお手数をおかけしますが、定期的な当院ホームページのチェックをお願い
いたします。 

 尚、今回の厚生労働省の通達では、”ワクチンの同時接種”そのものに関しては特に”中止”や
”見合わせ”という対応は求められていません。 同時接種も全世界では当たりまえに行われて
おり、安全性にも問題はないとされています。 当院では肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン以外の
ワクチンに関しては、”同時接種中止”などの新たな通達が出されるまでは同時接種は継続して
いきますので、ご希望の方はご相談下さい。

2011年3月7日

肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン接種の一時的見合わせについて