キッズクリニックうめはら

●B型肝炎ウイルス(HBV)は劇症肝炎、肝硬変、肝癌などを起こす可能性のある肝炎ウイルスで、その持続感染者(キャリア)は全世界に3億人、日本でも約100万人いると推測されています。 日本では、従来、HBVの感染経路として、母児感染(HBVのキャリアである母親から出生児への垂直感染)が最重要視されてきており、有効な対策が取られてきましたが、母親以外の家族や他人からの感染(水平感染)に関しては積極的な対応はされていませんでした。 しかし、HBVは母児間の垂直感染のみでなく、それ以外のキャリアからの水平感染も起こるとされ、このことが大きな問題となってきています。  実際に近年では日本国内で発生したHBV感染のうち、母児間の感染率は減少傾向で、逆に外国由来の遺伝子を持ったHBV感染が、その数、割合ともに増加傾向となってきています。 これは、海外でHBVに感染した人たちが日本に海外由来のHBVを持ち込み、HBV水平感染の感染源となっているということです。 今までは、外国由来のHBV感染などを気にかける必要はあまり無かったかもしれませんが、日本人の生活向上と多様化により気軽に日本と海外を行き来できるようになった現在、HBV感染のリスクは以前より格段に増していると考えられます。 最新の研究では、キャリアの尿、唾液、涙、汗などの体液からもHBVが高率に検出され、実験でもマウスへの感染が証明されています。 このことは、保育園や幼稚園などの集団生活でHBVに感染する可能性があることを示し、今まで以上に水平感染に対して警戒しないといけない状況となってきています。  WHOは、HBV撲滅を目指し、全世界の全出生児に対してB型肝炎ワクチンを接種するよう推奨しており、現在、全世界の92%の国で出生後すぐにB型肝炎ワクチン接種が行われています。 日本でも世界標準の接種を目指して、B型肝炎ワクチンの無料接種を求める運動が始まっていますが、実現にはほど遠い状況です。 この様な状況を考え、当院では今後積極的にB型肝炎ワクチン接種を勧めていきますので、ワクチン接種を希望される方はスタッフまでご相談下さい。

    戻る