キッズクリニックうめはら

●おたふくかぜワクチン、水ぼうそうワクチン2回目接種について


おたふくかぜに関しては、 ”大人になってからおたふくかぜになると不妊の原因となるので、子供の間におたふくかぜになったほうが良い…” ということを患者さんからよく聞くことがありますが、これは大きな間違いです。
 確かに成人の不妊も大きな問題ですが、それ以前のもっと大きな問題は、おたふくかぜになることによって、髄膜炎や膵炎といった命にかかわる病気を合併したり、難聴になる可能性があるということです。 おたふくかぜによる難聴は、数百人に一人の割合で発症し、片側の難聴が多いと言われていますが、それでも片方は一生耳が聞こえなくなります。 おたふくかぜを軽視し、あるいは不妊のことばかり考えて適切な時期にワクチンを接種しない、あるいはわざわざおたふくかぜにかかった人のところに行っておたふくかぜをうつしてもらうなどという行動は、非常に危険なことといえます。

 みずぼうそうは有効な抗ウイルス薬があるため、比較的軽症ですむことが多い病気ですが、まれに脳炎をおこすこともありますし、小児の脳梗塞の主要原因であるとも言われています。 また、かかった場合は1週間程度はお休みとなりますので、その間、親が仕事を休むことによって生じる経済的損失は大きいものとなります。

 ワクチンの有効率(発症を防ぐ効果)は、おたふくかぜワクチンが95%程度、水ぼうそうワクチンが70〜80%程度といわれ、いずれも、1回のワクチンでは100%の効果はありません。 今年はおたふくかぜが大流行していて、ワクチンを1回接種した人でも発症した人もかなりありました。 どんなワクチンでも、1回で100%の予防効果はありませんので、はしか、風疹に関しては、日本でも数年前から2回の接種が義務付けられています。 おたふくかぜワクチン、水ぼうそうワクチンに関しては、任意接種(有料)となっていることと、 ”病気としては軽くすむ” と一般に思われているため、日本では欧米と比較して接種率が低いのが現状ですが、諸外国ではそれぞれ2回ずつ接種するのが基本となっています。 日本でもこれらのワクチンの無料化に向けての動きがありますが、実現には程遠い状況です。

 当院では、以上のような状況をふまえ、おたふくかぜワクチン、水ぼうそうワクチンの2回接種をお勧めしています。 特に、おたふくかぜワクチンに関しては、難聴などのリスクを考えた場合、2回目の接種をされることをお勧めします。 それぞれのワクチンの2回目の接種スケジュールに関しては、1回目の接種時期により多少変わりますので、スタッフおよび院長にご相談ください。

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